日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
外傷性胸部大動脈損傷と腸管穿孔に対し,同時緊急手術を行い救命し得た1 例
平本 明徳星野 竜金子 完小柳 俊哉
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2014 年 23 巻 5 号 p. 845-849

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抄録

要旨:症例は71 歳男性.交通事故にて他院より救急搬送された.来院時,激しい腹痛を訴えていたためCT 検査を行ったところ,遠位弓部大動脈損傷と腹腔内遊離ガス像を認めた.大動脈損傷部は仮性瘤様であり,急性期の破裂を回避するため緊急手術の適応と判断し,腹部に関しては,腸管穿孔による腹膜炎の増悪を考え,胸部同様,緊急手術の適応と判断し,胸部と腹部の同時手術を行う方針とした.手術はまず,左開胸,部分体外循環下にて遠位弓部人工血管置換術を行い,閉胸後,仰臥位にて開腹し小腸部分切除を行った.術後,気管切開や創部処置などが必要となったが,後遺症なく独歩退院した.外傷性大動脈損傷においては,多臓器損傷を生じていることが多く,治療方針と時期の決定は困難な場合がある.今回,外傷性大動脈損傷と腸管損傷の併発例に対し,同時手術を行い良好な結果を得た.

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