日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
肝膿瘍に中心静脈カテーテルが迷入していた1 例
伊藤 栄作吉田 正道喜 将太郎倉部 和義松崎 靖司大木 隆生
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 23 巻 6 号 p. 941-945

詳細
抄録

要旨:82 歳女性.アルツハイマー型認知症,誤嚥性肺炎にて入院した.治療中に経口摂取不能となったため,中心静脈栄養を施行した.中心静脈カテーテル(CVC)は体型的な問題があり右大腿静脈より挿入した.CVC 留置後8 日目に発熱および肝胆道系酵素の上昇を認め胆管炎が疑われMRCP を施行したところ,多房性の肝膿瘍が認められた.抗生剤投与による保存的治療を行ったが改善せず,肝膿瘍ドレナージを施行した.術前評価の造影CT で,増大した膿瘍にCVC 先端が迷入していることが判明し,肝膿瘍ドレナージ術中にCVC から造影剤を注入すると膿瘍との交通が確認された.CVC からも膿の流出が認められたため,CVC は抜去せずドレナージ経路として使用することとした.解熱を認めたためドレナージ留置後1 週間でCVC を抜去した.その後,膿瘍ドレナージも抜去し順調な経過をたどった.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top