日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
急性A 型大動脈解離術後visceral malperfusion を併発したが,上腸間膜動脈ステント挿入およびステントグラフトにて救命し得た1 例
田島 泰由利 康一松本 春信安達 晃一山口 敦司安達 秀雄
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2014 年 23 巻 6 号 p. 936-940

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抄録
要旨:症例は42 歳,男性.会議中に突然胸部痛が出現,造影CT 上,急性A 型大動脈解離の診断で手術目的にて当院紹介され,同日緊急上行大動脈置換術施行.術後第1 病日に左外腸骨動脈閉塞を認め,大腿動脈-大腿動脈バイパス術を施行した.術後第2 病日に徐々に腹痛が出現し,アシドーシスが進行し,CT 上上腸間膜動脈が右結腸動脈分岐部手前で偽腔血栓閉塞していた.緊急バイパス手術を行う方針とし,SMA 閉塞部位直上を切開,偽腔の血栓を可及的に除去した.しかし吻合に十分な血管径が得られず,またinflow の問題から,逆行性にSMA 根部にステントを留置.SMA 圧を測定したところ,上肢血圧と20 程度の差を認めた.IVUS を施行すると下行大動脈の一部が偽腔に圧排され真腔狭窄の所見を認め,真腔の圧排に対してTEVAR を施行した.術後経過良好でアシドーシスは改善し,自宅退院となった.
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