2015 年 24 巻 2 号 p. 87-90
要旨:症例は72 歳男性.意識障害を主訴に当院へ入院となり,精査の結果Methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)による肺炎,縦隔炎,敗血症と診断された.入院4 日目に施行された造影CT にて最大径60 mm の右鎖骨下動脈瘤が出現し,切迫破裂所見を伴っていたため,手術適応と考えられた.敗血症,急性期DIC の状態であり,開胸手術は危険性が高かったため,二期的開胸手術を考慮した上で,緊急血管内治療を行う方針とした.手術は右総頸動脈から腕頭動脈へGore Excluder 脚を挿入し,右鎖骨下動脈へコイル塞栓術を行った.術後に瘤の拡大は停止し,感染制御も可能であり,術後153 日目に自宅へ退院となった.全身状態が不良な感染性右鎖骨下動脈瘤の症例に対し,緊急ステントグラフト内挿およびコイル塞栓術による血流遮断は有用と思われた.