抄録
要旨:症例は78 歳,男性.狭心症で近医通院中.冠動脈の精査のために行ったCT 検査で偶然に下行大動脈の囊状瘤を指摘され,当院でステントグラフト内挿術(TEVAR)を行った.手術から2 年後,38度の発熱を認め,近医を受診.WBC,CRP の上昇を認め,抗生剤の処方を受け当院に紹介された.CT 検査で以前に比べ,ステントグラフト外側の大動脈壁が肥厚,拡大し,造影効果が認められた.TEVAR 術後の大動脈壁の感染,あるいは再燃を疑い手術を施行した.手術は,ステントグラフトを除去,同部位の大動脈壁を摘出し,人工血管置換術を行った.術後11 病日独歩退院し,術後半年の現在も感染の再燃を認めていない.囊状動脈瘤にステントグラフトを留置する際,注意深い経過観察が必要であると思われた.