日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
浮遊性胸部下行大動脈内血栓症の1 例
阿部 陛之村上 優宗像 宏摩文仁 克人久貝 忠男
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2015 年 24 巻 7 号 p. 959-962

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抄録

要旨:79 歳男性.以前より糖尿病,高血圧を指摘されていた.今回,右側腹部痛を自覚し,近医受診した.造影CT にて右腎梗塞,上腸間膜動脈塞栓を認め,その際,胸部下行大動脈に20 mm 大の浮遊性の突出した血栓を認め,当科紹介となった.造影MRI にて周囲が造影された構造物を認めた.塞栓症状があり,診断的治療もかねて準緊急的に手術を行った.陰影欠損像は悪性腫瘍も鑑別に挙げられるため,大動脈壁を一塊に切除する方針とした.周囲との癒着は軽度であり,Direct-aortic echography および経食道エコーにてTh10 レベルに構造物を同定した.人工心肺補助下に大動脈を切除したところ,内部にカリフラワー状の構造物を認めた.病理所見では比較的新しい血栓であり,大動脈壁の内膜は平滑であった.術後26 日目に退院となった.浮遊性大動脈内血栓症に対して手術による切除を行った.再発なく術後1年を良好に経過している.

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