2016 年 25 巻 p. 33-36
要旨:症例は63 歳,女性.45 年間長時間の食堂勤務を続けてきた.また,4 年前に強皮症と診断され治療されていた.両下肢の静脈瘤には以前から気づいていた.左下腿内側に静脈うっ滞によると思われる皮膚潰瘍が生じ,大伏在静脈ストリッピング術+ 不全穿通枝直視下切離術を施行した.約9 カ月後に対側にも発症し,同様にストリッピング術+ 内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術(SEPS)を行った.両側ともに約10 週で潰瘍は完治した.表在静脈瘤切除を行った左膝関節周囲で皮下の炎症が術後数週間続き,強皮症による皮膚皮下の脆弱性をうかがわせた.ただしこの間,強皮症の悪化を疑わせる身体変化や症状出現はなかった.強皮症合併例においても安全にストリッピング手術が施行でき,潰瘍治癒が得られることが示された.強皮症がどの程度うっ滞性皮膚潰瘍の発症に関与しているかは不明であった.