日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
破裂性腹部大動脈瘤に対するEVAR後にType IIエンドリークによる瘤再破裂をきたした1例
赤岩 圭一 古野 哲慎尾田 毅中村 克彦田中 啓之
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2018 年 27 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

腹部大動脈瘤破裂に対してEVAR施行後,半年後にType IIエンドリークにて再破裂をきたしたが,開腹手術を施行し良好な結果を得たので報告する.症例は69歳男性.腹痛で前医を受診し,腹部CTで腹部大動脈瘤破裂を認め,当院に救急搬送となり,緊急で局所麻酔下にEVARを施行した.術後のCTでは腰動脈と下腸間膜動脈からのType IIエンドリークを認めたが,瘤の拍動は消失し,全身状態は安定しており,外来で経過観察を行った.EVAR半年後のCTでは前回CTで認めなかった瘤内の粥腫に連続する突出した腫瘤を後腹膜に認め,contained ruptureと診断した.血管造影で,複数の腰動脈からのType IIエンドリークが確認され,確実性の高い治療が必要と判断し,開腹による手術を選択した.手術は瘤を左右から剝離し,腰動脈,下腸間膜動脈を結紮し,瘤切開にて瘤内への血流がないことを確認し,瘤壁を縫縮しながら閉鎖した.経過は順調で独歩退院し,術後4ヵ月で瘤拡大はない。

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