2018 年 27 巻 1 号 p. 15-19
胸部大動脈ステントグラフトでは凡そ半数が弓部にかかる治療を要し,すなわち主要分枝の閉塞を伴う.したがってデブランチの技量が適応拡大に重要となる.鎖骨下動脈の再建は特殊な条件以外では行う必要はないが待期手術であればデブランチしておく方が安全である.総頸動脈間バイパスの食道経路は美容上もメリットがあるが嚥下困難を生じさせないよう気管膜様部後方を通過させなければならない.Zone 0 TEVARで開胸を伴う上行からデブランチを行う方法は低侵襲とはいえずあまり推奨されない.開胸をさけるためにChimney法,in-situ fenestration(ISF), branched or fenestrated graft法がある.われわれのSquid capture法によりISFは安全でかつ有効な方法である.弓部デブランチ自体は脳梗塞のリスクではなく,左鎖骨下動脈遮断が塞栓予防として重要である.