日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
下肢神経障害をきたした巨大遺残坐骨動脈瘤の1例
嘉山 貴文 佐野 真規斉藤 貴明犬塚 和徳山本 尚人海野 直樹
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 2 号 p. 69-72

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抄録

症例は73歳女性.左下腿脱力しびれを主訴に近医を受診した.左臀部から大腿に圧痛を伴う非拍動性腫瘤を触知し左下腿筋群の筋力低下と脛骨神経・総腓骨神経領域の知覚障害を認めた.造影CT検査では左臀部から大腿下部に最大短径60 mmの血栓閉塞した遺残坐骨動脈瘤を認め膝窩動脈以下は大腿深動脈からの側副路により造影された.動脈瘤の圧迫による坐骨神経障害の診断で当科に紹介入院となった.全身麻酔下に腹臥位で動脈瘤を露出した.脛骨神経・総腓骨神経は動脈瘤に高度に癒着しており神経を温存しつつ可及的に瘤切除術を施行した.大腿部の血行再建は行わなかった.筋力低下,知覚障害の神経症状は改善し18日目に独歩退院した.遺残坐骨動脈瘤の症状には下肢虚血と瘤の圧迫による神経障害がある.下肢虚血に血行再建術が,神経障害に瘤切除術や瘤縫縮術が必要である.下肢の血行状態と神経学的所見を十分に評価し術式を選択することが重要である.

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