2018 年 27 巻 2 号 p. 141-144
有症状の成人大動脈縮窄症患者に対して,ステントグラフト内挿術を施行し著効した.症例は70歳女性,数日前からの胸部圧迫感があり,造影CTで未治療の大動脈縮窄症を認めた.降圧薬を追加したところ,下肢冷感および全身倦怠感が出現したため中止し治療を検討した.高齢でありステントグラフト内挿術を選択した.手術は大動脈縮窄部位にステントグラフトを挿入した.縮窄部位の通過は問題なかったが,回収時にトップキャップがひっかかり通過困難であったが,アウターシースでステントを下から固定しながら通過させた.拡張直後から上下肢の血圧差は50 mmHgから10 mmHgと著明に改善した.術後より症状は改善し術後8日目に退院となった.術後5カ月の造影CTでは縮窄部はさらに拡張しており,ABIは右1.02,左1.06まで改善した.有症状の成人大動脈縮窄症に対して,ステントグラフト内挿術を施行し著効した1例を報告する.
