日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
有症状の成人大動脈縮窄症に対するステントグラフト内挿術の使用経験
東 理人 橋本 亘八巻 文貴當山 眞人蜂谷 貴
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 2 号 p. 141-144

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抄録

有症状の成人大動脈縮窄症患者に対して,ステントグラフト内挿術を施行し著効した.症例は70歳女性,数日前からの胸部圧迫感があり,造影CTで未治療の大動脈縮窄症を認めた.降圧薬を追加したところ,下肢冷感および全身倦怠感が出現したため中止し治療を検討した.高齢でありステントグラフト内挿術を選択した.手術は大動脈縮窄部位にステントグラフトを挿入した.縮窄部位の通過は問題なかったが,回収時にトップキャップがひっかかり通過困難であったが,アウターシースでステントを下から固定しながら通過させた.拡張直後から上下肢の血圧差は50 mmHgから10 mmHgと著明に改善した.術後より症状は改善し術後8日目に退院となった.術後5カ月の造影CTでは縮窄部はさらに拡張しており,ABIは右1.02,左1.06まで改善した.有症状の成人大動脈縮窄症に対して,ステントグラフト内挿術を施行し著効した1例を報告する.

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