日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
総説
急性下肢虚血
尾原 秀明 松原 健太郎北川 雄光
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

急性下肢虚血(acute limb ischemia: ALI)は,末梢動脈あるいはバイパスグラフトの急性閉塞による下肢血流の急激な減少であり,迅速かつ適切な治療が施されなければ肢のみならず生命予後不良となる疾患である.病因は塞栓症と血栓症に大別され,さまざまな背景疾患を有する.ALIの症状は急激で,下肢の疼痛,しびれ,冷感から虚血の進行とともに知覚麻痺,拘縮,不可逆性紫斑が出現する.身体所見と画像所見により重症度の判定と治療方針を決定する.不可逆的虚血と判断した場合には,救命を優先し,肢切断を躊躇しない.治療法は,薬物療法(速やかなヘパリンの全身投与),外科的治療,血管内治療,ハイブリッド治療があるが,いずれにおいても,術中血管撮影検査による病変評価と適切な追加治療が重要である.ALIは緊急の治療を要する重篤な疾患であり,各施設において施行可能な最善の初期治療を速やかに行うことが肝要である.

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