2018 年 27 巻 2 号 p. 129-132
本稿では,重症虚血肢治療における術前・術後の感染対策について述べた.感染合併の有無とその程度を考慮した重症虚血肢の治療戦略を示した.感染を伴う重症虚血肢に対して治療戦略を誤ると,感染の拡大を助長し虚血肢の状況を悪化させることになり,最終的には救肢のみならず救命できない結果となりうることから,術式,バイパス材料,吻合部位,術後抗菌薬,創傷処置などにおいて適切な判断が必要である.感染は,外科医にとって最も身近で切り離せない問題であるが,とくに重症虚血肢における感染対策は血行再建とともに重要な治療の鍵である.