日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
凝固第XIII因子製剤が止血に有効であった解離性大動脈瘤が原因の播種性血管内凝固症候群の一例
伊藤 寿朗 三上 拓真沼口 亮介渡邊 俊貴仲澤 順二川原田 修義
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 27 巻 3 号 p. 247-250

詳細
抄録

解離性大動脈瘤が原因の播種性血管内凝固症候群(DIC)は稀であるが,出血した場合,治療に難渋することが多い.症例は79歳の女性.DeBakey IIIb型解離性大動脈瘤に対して,胸部下行大動脈置換術後の外来経過観察中,穿刺部からの止血困難などの症状出現と血液検査でDICの悪化を認めたため入院加療の方針となった.ヘパリン投与により血液検査上DICの改善を認めていたが,突然右大胸筋内の出血が出現した.ドレナージ止血術を行った後も持続的な出血が続いたために,凝固第13因子(FXIII/13)製剤を投与したところ,止血とDICの改善を認めた.後日出血時に採取した血液検査にて,FXIII/13が46%と低値であったことが判明した.解離性大動脈瘤に合併するDICの症例で出血を認め,その背景にFXIII/13の低下が関与し,治療にはFXIII/13製剤が有効であった症例を報告した.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top