2018 年 27 巻 6 号 p. 461-466
【目的】いわゆるDodd, Boyd, Cockettのような定型的な穿通枝以外の非定型的な不全穿通枝(IPV)による下肢静脈瘤症例について,今回手術経験症例をまとめた.【方法】2014年1月から2018年6月に,下肢静脈エコーで診断し,患者の希望で治療した43肢の非定型的な位置のIPVに起因する下肢静脈瘤につき,局在,症例像,症状,治療とその結果を分析した.【結果】原因のIPVは筋肉のコンパートメント間を走行していた.局在は,大腿下部後外側が16肢と最も多く,続いて膝窩付近9肢,下腿下部後外側7肢と続いた.42肢に不全穿通枝直接結紮切離と関連側枝静脈瘤切除を,1枝には硬化療法を行い,40肢では筋膜下の閉塞を得たが,3肢では筋膜レベルでto and froの血流が遺残し,stamp側枝からの再発に注意して経過観察中である.【結論】下肢静脈瘤の原因となる非定型的IPVは大腿下部後外側に多く,正確なエコー診断のもと,筋膜外に断端,関連側枝を残さない結紮切離が重要である.