2019 年 28 巻 2 号 p. 159-162
総大腿動脈硬化性病変に対するeversion endarterectomyはパッチ形成をともなう内膜摘除に比べて,人工物を使用する必要がないこと,感染および仮性瘤形成のリスクを軽減できること,術後に血管内治療アプローチとして利用可能などの利点が得られ,有用な治療法である.今回,総大腿動脈硬化性病変を有する4症例,5肢に対してeversion endarterectomyを行った.術前の虚血症状は全4症例ともRutherford分類2であった.術後は全例に虚血症状やABIは改善し,早期閉塞を含めた合併症は認めなかった.1例1肢に術後解離を疑う所見が認められ,病変長によっては内膜固定が不十分となる可能性があり,術中造影やエコーで解離の有無を評価すべきであった.4症例の平均観察期間は23.8カ月であった.総大腿動脈硬化性病変に対するeversion endarterectomyの初期成績を報告する.