日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
動脈起始異常を伴う広頸性の総肝動脈瘤に対してballoon neck plastyを用いてコイル塞栓を施行した1例
石田 圭一 高橋 昌一片田 芳明
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 2 号 p. 107-110

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抄録

腹部内臓動脈瘤は稀な疾患である.破裂した際に致死的なため適切な治療介入が必要である.主に瘤の局在により治療法が選択されるが,近年,血管内治療が増加している.今回,われわれは動脈起始異常を伴った広頸性の総肝動脈瘤に対してballoon neck plastyを用いたコイル塞栓を行い有用であったので報告する.症例は55歳女性.造影CTで上腸間膜動脈より分岐する総肝動脈近位に最大径20 mmの広頸性の囊状動脈瘤を認めた.B型肝炎ウイルスキャリアであり将来の肝癌に対する血管内治療の可能性を考慮し,親血管の血流を温存するためballoon neck plastyを併用した瘤内packingを施行した.術後に肝機能異常を認めず,造影MRIで瘤内の血流消失,総肝動脈の血流維持を確認した.腹部内臓動脈瘤では,動脈解剖や並存疾患を踏まえ,支配臓器への血流温存を十分に考慮した治療を選択することが重要であると考える.

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