2019 年 28 巻 4 号 p. 259-261
Perigraft seroma(PGS)は人工血管を用いた手術の比較的稀な合併症である.腹部大動脈瘤に対して2度の人工血管置換術施行後,合併した難治性PGSに対してステントグラフト内挿術(EVAR)を施行し良好な結果を得られたので報告する.症例は78歳男性.腹部大動脈瘤に対してexpanded polytetrafluoroethylene(ePTFE)グラフトによる人工血管置換術を施行した.術後PGSが増大しイレウス症状も呈するようになったため2年後にpolyester knittedグラフトによる再人工血管置換術を施行した.しかし,PGSがさらに再発したためExcluderを用いてEVARを施行し,その後はPGSの再燃は認めなかった.2度の腹部大動脈人工血管置換術後に合併した難治性PGSに対してEVARによる治療は有効であった.