日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
総説
腹部大動脈・腸骨動脈瘤–下大静脈瘻の外科治療
前田 英明 田中 正史
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 4 号 p. 317-322

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抄録

腹部大動脈・腸骨動脈瘤–下大静脈瘻を合併した腹部大動脈瘤ACF(aortocaval fistula)は腹痛・腰痛,拍動性腫瘤,腹部血管雑音の3徴に加え,心不全,下腿浮腫の特異な臨床症状を呈する.特発性ACF(spontaneous ACF: sACF)は腹部大動脈・総腸骨動脈瘤が巨大化し下大静脈(IVC)に破裂穿孔し,発症する.全腹部大動脈瘤(AAA)の0.2~1.3%の頻度で,破裂性AAAの3~4%を占めるまれな合併症である.人工血管置換術,穿孔部閉鎖が標準術式であるが,死亡率が高いことからステント-グラフト内挿術の報告も散見されるようになったが,エンドリークの合併対策に問題が残る.もう一つの原因は外傷性で,最も頻度が高いのは腰椎椎間板内視鏡術術後で,症例数増加に伴い,術中・後のAVF報告は決してまれではなくなってきている.本稿では術前臨床症状,診断率,人工血管置換術,ステント-グラフト内挿術の死亡率,合併症について考察する.

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