日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
B型急性大動脈解離腹部破裂に対する腹部大動脈人工血管置換術後に臓器灌流不全を来した一例
新田目 淳孝 尾藤 康行因野 剛紀末廣 泰男山根 心佐々木 康之
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2019 年 28 巻 4 号 p. 307-310

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抄録

症例は58歳の女性で,突然の背部痛にて救急搬送された.造影CT検査にてStanford B型急性大動脈解離と腹部大動脈破裂の所見を認めたため同日緊急手術となった.開腹したところ,卵巣動脈と思われる腹部分枝血管に解離が進展しており,その根部の外膜が破綻していた.腹部大動脈人工血管置換術を施行したが,中枢側吻合を行い大動脈の遮断を解除した直後より末梢側人工血管への血流低下を認め腸管の色調変化が出現した.術中造影にて真腔の狭小化による腹部臓器の灌流不全が生じていると判断し,続けてステントグラフトによる左鎖骨下動脈分岐部末梢のエントリー閉鎖を施行して血流の改善を得た.腸管壊死のため術後に部分的小腸切除および回盲部切除を行い,維持透析の導入が必要となったが,全身状態は回復しリハビリ転院の後に自宅退院した.

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