日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
10年前の膀胱内注入療法時のBCGを起因菌とした結核性脊椎炎に合併した感染性腹部大動脈瘤に対してEVARを施行した1例
中井 信吾 渡辺 徹雄八田 益充津田 雅視外山 秀司貞弘 光章
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 28 巻 4 号 p. 311-316

詳細
抄録

BCG(Bacillus Calmette-Guérin)膀胱内注入療法は膀胱癌の治療として一般的に施行されているが,稀な合併症として感染性動脈瘤が報告されている.10年前のBCG膀胱内注入療法時のBCGを起因菌とした結核性感染性動脈瘤の症例を経験したので報告する.症例は82歳男性.71歳時に膀胱癌に対しBCG膀胱注入療法を1回施行された既往があった.雪かき後から腰痛を自覚し保存加療を受けていたが,憩室出血で入院した際のCTでL3/4の破壊を伴う化膿性脊椎炎,傍脊柱膿瘍,腸腰筋膿瘍,不整形な囊状感染性腹部大動脈瘤を認め当院へ紹介された.CTガイド下生検で起因菌はBCGと判明.抗結核薬治療を開始し,約6週間投与後にEVARを施行した.更に起因菌同定検査を施行し,10年前に膀胱注入されたBCG Tokyo株と同一株であることが証明された.術後12カ月間抗結核薬を投与し感染徴候なく経過している.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top