日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腹腔動脈,上腸間膜動脈および外腸骨動脈の閉塞を伴う下腸間膜動脈瘤の1治験例
榎本 貴士 島田 晃治竹久保 賢鳥羽 麻友子
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 29 巻 2 号 p. 117-119

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抄録

下腸間膜動脈瘤(IMAA)は,腹部内臓動脈瘤の中でも,稀な疾患である.今回われわれは腹腔動脈(CA),上腸間膜動脈(SMA)および外腸骨動脈(EIA)の閉塞を伴う下腸間膜動脈瘤に対し,開腹手術を施行した1例を経験した.症例は62歳,男性.造影CTで無症候性のIMAAとCA, SMA, 右EIAの閉塞および左EIA高度狭窄と診断され,主にIMAからの血流で腹部臓器は灌流されていた.腸管虚血を回避するため,両側EIAとSMAを人工血管による血行再建術を行った後,瘤切除術を施行した.手術終了時に腸管の色調および蠕動が良好なことを確認した.術後造影CTでSMAバイパスは開存し,腹部内臓の血流は良好であった.合併症なく術後11病日に退院した.遠隔期に腹部内臓動脈が再瘤化する可能性もあり,経過観察が必要である.

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