日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
骨盤内動静脈瘻を合併する巨大な卵巣動脈瘤破裂に対して緊急開腹手術を施行し救命し得た1例
小林 龍宏 内野 英明赤羽根 綾香中村 健金 哲樹島貫 隆夫
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2020 年 29 巻 2 号 p. 125-129

詳細
抄録

卵巣動脈瘤破裂は非常にまれな疾患であり,重篤な病態を呈する.症例は72歳女性,2経妊2経産(帝王切開歴なし).意識障害で前医へ搬送され,血圧63/44 mmHgとショック状態を呈していた.造影CTで右異所性腎動脈から起始する右卵巣動脈の巨大な瘤化(最大短径71 mm)と破裂所見を認めた.また,瘤より末梢の卵巣動脈は骨盤内で動静脈瘻を形成していた.当院へ搬送され,血管内治療を考慮したが,卵巣動脈瘤より中枢側,末梢側の動脈とも径が太いためコイル塞栓術は困難と判断され,緊急手術を施行した.手術は腹部正中切開下に卵巣動脈瘤の中枢側,末梢側の動脈をそれぞれ結紮した.術後経過は良好であり,造影CTで動脈瘤への造影剤流入を認めなかった.また,骨盤内動静脈瘻は縮小していたが残存を認めたためコイル塞栓術を施行した.卵巣動脈瘤破裂と骨盤内動静脈瘻が合併した症例はわれわれの調べた限り報告がなく,極めてまれな症例を経験したので報告する.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top