日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
巨大肝動脈瘤に対してAmplatzer vascular plug IIを用いて塞栓術を施行した1例
仲澤 順二 井上 聡巳大川 陽史保坂 到水野 天仁
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2021 年 30 巻 2 号 p. 85-88

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抄録

内臓動脈瘤の治療法としては,開腹人工血管置換術,塞栓術,ステントグラフト内挿術などが報告されているが,稀な疾患であるため,現在でも治療法は定まっていない.今回,巨大肝動脈瘤を,バスキュラープラグとコイルを用いた塞栓術で治療した症例を経験したため報告する.症例は70代女性.CT検査で最大径80 mmの巨大肝動脈瘤を指摘され,当科紹介となった.壊死性胆囊炎と腹壁瘢痕ヘルニアの既往があり,開腹人工血管置換術はハイリスクと判断され,塞栓術の方針となった.塞栓術に際しては,肝動脈瘤へ流入する総肝動脈径が太く,かつ留置できる範囲が短かったため,コイル塞栓の場合,術後にコイルが瘤内へ脱落する可能性があった.そのため肝動脈瘤中枢側にはAmplatzer vascular plug IIを留置し,末梢側にはコイル塞栓を行った.2回にわたる塞栓術を行い,肝動脈瘤内への血液流入を途絶させることができた.

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