日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
右鎖骨下動脈起始異常のKommerell憩室に対するChimney法ステントグラフト内挿術の1例
松山 正和 赤須 晃治白崎 幸枝川越 勝也
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2021 年 30 巻 2 号 p. 131-135

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抄録

右鎖骨下動脈起始異常(aRSA)を伴うKommerell憩室(KD)に対する胸部ステントグラフト内挿術(TEVAR)と左鎖骨下動脈(LSA)へのステント留置(いわゆるChimney法)を行った症例を報告する.症例は61歳男性で,嚥下障害を主訴に近医受診し,CTでaRSAとKDを認め当科紹介となった.aRSAは食道背側を走行し,憩室の基部径は43.5 mm, 憩室頂部から対側大動脈壁間距離は54.5 mmであった.左総頸動脈分岐直後の弓部大動脈から下行大動脈にステントグラフトを内挿し,aRSA遠位部とKD内にコイルを充填した.順行性血流温存のため,LSAにステント留置,左椎骨動脈を左総頸動脈に転位した.術後,右上肢跛行を認めたが,重症右上肢虚血や盗血症候群,脳脊髄障害は認めなかった.術後半年で憩室の基部径は33.0 mmと縮小し,嚥下障害や右上肢跛行も消失した.術後2年で症状の再燃やKD再拡大は認めていない.

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