日本血管外科学会雑誌
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症例
EVARによるbridged therapyが奏功した大動脈十二指腸瘻の一例
小林 卓馬 夫 悠渡辺 太治後藤 智行
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ジャーナル オープンアクセス

2021 年 30 巻 2 号 p. 163-167

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抄録

大動脈十二指腸瘻(Aorto-Duodenal Fistula: ADF)は大動脈が十二指腸と交通を来す疾患であり大量の消化管出血や出血性ショックを引き起こし,未治療の場合は高率に死に至る重篤な疾患である.症例は62歳男性.前医にて吐血.上部消化管内視鏡,造影CTにてADFと診断された.前医放射線科にてIntra-Aortic Balloon Occlusion(IABO)が挿入され,当院へ転院搬送となった.緊急Endovascular Aortic Repair(EVAR)を施行,後日ステントグラフト抜去,人工血管置換術および十二指腸部分切除を施行した.ADFに対する治療は血行再建が原則となるが近年EVARによる止血例の報告も散見され,今回の症例もbridged therapyが奏功したと考えられた.

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