日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
人工膝関節置換術後に生じた巨大な膝窩動脈仮性瘤に対してVIABAHNを留置した1例
三森 義崇 伊從 敬二奥脇 英人有泉 憲史橋本 良一
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2021 年 30 巻 4 号 p. 201-204

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抄録

人工膝関節置換術(TKA)は比較的安全な手術であるが,稀に動脈損傷の合併症を生じることがある.症例は73歳女性.左変形性膝関節症に対して,他院整形外科にてTKAが施行された.2週間後から左下肢腫脹が出現し,徐々に悪化したため101日後に当院に紹介された.造影CT検査にて左膝窩から下腿後面に約12×18 cmの巨大血腫を認め,動脈造影検査にて膝窩動脈から後方に造影剤の漏出を認めたため,TKA術後の膝窩動脈仮性瘤と診断した.手術は穿孔部位にVIABAHNを留置し,同時に血腫のドレナージを行った.術後経過は良好で,11日目に退院した.6カ月後の動脈造影検査で穿孔部はシールされ,有意狭窄を認めず,術後36カ月経過した現在まで無症状で経過している.膝窩動脈に対するステントグラフト留置は保険適用外の使用であるが,症例によっては有効な治療手段となりうると考えられた.

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