日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
膵十二指腸動脈瘤に対する外科治療の検討
前田 達也 安藤 美月喜瀬 勇也稲福 斉山城 聡古川 浩二郎
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 31 巻 2 号 p. 73-79

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抄録

膵十二指腸動脈瘤はまれな疾患で,瘤径にかかわらず破裂する可能性が示唆されており,適切な診断と治療介入が必要である.膵十二指腸動脈瘤の成因の一つに腹腔動脈の狭窄・閉塞があげられ,側副路になっている膵アーケードにかかる力学的ストレスが問題となる.今回われわれは膵十二指腸動脈瘤に対する外科的血行再建を行った4例を経験したので報告する.側副路の消失による臓器虚血を懸念し,すべての症例で血行再建を行った.症例1・2で血管塞栓術および総肝動脈バイパスを施行,症例3で瘤切除と総肝動脈バイパスを施行,症例4で瘤切除と同部位での血管再建を行った.症例3・4で小径の動脈瘤が残存したが,力学的ストレスを軽減できた症例3では残存瘤の縮小が得られた一方で,症例4では増大が見られた.力学的ストレスの有無が残存瘤径の変化に影響を与えている可能性が示唆され,患者背景および手術侵襲を考慮し,症例ごとに術式を検討する必要がある.

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