日本血管外科学会雑誌
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血管外科手術アニュアルレポート2018年
血管外科手術アニュアルレポート2018年
日本血管外科学会データベース管理運営委員会NCD血管外科データ解析チーム
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 31 巻 4 号 p. 217-237

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抄録

2018年に日本で行われた血管外科手術について,日本血管外科学会データベース管理運営委員会が集計結果を解析し,アニュアルレポートとして報告する.【方法】NCDの血管外科手術データに基づき,全国における血管外科手術動向およびその短期成績(術死,在院死亡)を解析した.【結果】2018年にNCDに登録された血管外科手術は143,745件であり,1,090施設からの登録があった.このデータベースは,7つの血管外科分野すなわち動脈瘤,慢性動脈閉塞,急性動脈閉塞,血管外傷,血行再建合併症,静脈手術,その他の血管疾患からなっており,それぞれの登録症例数は,24,495, 18,700, 4,813, 2,363, 694, 45,088, および47,592例であった.腹部大動脈瘤(含む腸骨動脈瘤)は20,160例で,その61.6%がステントグラフト(EVAR)により治療されている.1,794例(8.9%)の破裂例を含んでおり,手術死亡率は破裂,非破裂で,それぞれ15.7%,0.6%であった.破裂症例に対するEVARは43.3%を占め,比率が年々増加しているが,置換術とEVARの手術死亡率はそれぞれ14.0%と14.6%であり,有意差はなかった.慢性動脈閉塞症は,重複を含み18,700例登録され,open repair 8,336例(うちdistal bypass 1,348例),血管内治療9,710例が施行された.血管内治療の割合が51.9%であった.静脈手術では,下肢静脈瘤手術が43,133例と昨年に引き続いて減少し,前年比で7.7%減少した.このうち血管内焼灼術は33,346例で,手術法の77.3%を占めた.下肢深部静脈血栓症は449例であった.その他の手術として,バスキュラーアクセス手術44,003例,下肢切断1,631例が登録され,共に増加している.【結語】2017年と比較して,全領域において血管内治療が増加しており,とくに動脈瘤に対するステントグラフト内挿術,慢性動脈閉塞症に対する血管内治療や下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の増加が目立った.

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