日本血管外科学会雑誌
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症例
急性大動脈解離Stanford B型に対する外科的開窓術の術中にICG蛍光法で腸管血流を評価した一例
池松 真人 内田 敬二安田 章沢長 知樹小林 由幸松本 淳
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2022 年 31 巻 5 号 p. 269-272

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抄録

臓器血流障害を伴う急性大動脈解離Stanford B型(TBAAD)に対する開窓術は血管内開窓術と外科的開窓術がある.外科的開窓術は直視下に腸管を評価できる点が有用で,今回術中ICG蛍光法で腸管血流改善を確認した症例を経験した.症例は70歳男性で来院3日前に腹痛・腰痛を発症し大動脈解離の診断で当院に転院搬送された.造影CTでdynamic obstructionによる腹腔動脈,上腸間膜動脈のmalperfusionが疑われた.ほぼ全ての肋間動脈は偽腔から起始しており,TEVARによるentry閉鎖では偽腔血栓化により脊髄梗塞を起こす可能性があったため,外科的開窓術を行った.腸管は色調が不良でICGの取り込み低下を認めたが,開窓術後に改善した.ICG蛍光法を大動脈解離のmalperfusionに対し使用した報告は検索し得た限り過去にない.外科的開窓術は直視下にその治療効果を術中に確認できICG蛍光法の併用でより確実な血流評価が可能であった.

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