静脈性血管瘤(venous aneurysm, VA)は静脈の延長,蛇行を伴わない限局性の拡張病変で,稀な疾患である.深部静脈に形成されたVAは局所の症状が乏しく,多くは無症状であるが,膝窩静脈静脈性血管瘤(popliteal venous aneurysm, PVA)は重篤な呼吸苦から肺血栓塞栓症(pulmonary embolism, PE)と診断され,発見されることがある.症例は46歳男性で胸痛と労作時呼吸苦で来院され,造影CTにてPE, 動静脈瘻(arteriovenous fistula, AVF)を伴ったPVAと診断され,抗凝固療法開始し,呼吸状態の改善後に手術を行った.手術はAVFを閉鎖し,PVAを縫縮した.術後経過良好にて術後15日に退院となった.PVAにAVFを伴う例は極めて稀であり,術前の診断ならびに外科的処置においては十分に考慮しておく必要がある.
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