2022 年 31 巻 5 号 p. 291-297
【目的】ステントグラフト内挿術(EVAR)術後,瘤縮小に影響する因子を検討した.【方法】2009年8月~2021年12月のEVAR症例で,瘤径が5 mm以上縮小79例と拡大18例を対象とした.2013年3月から術後にトラネキサム酸(TXA)を半年間投与し,2015年7月からEVAR術中にコイル塞栓を施行し,患者背景,EVAR終了時の開存大動脈分枝を検討した.【結果】縮小群で,抗血小板剤内服症例が有意に少なく,TXA内服症例が有意に多く,EVAR終了時に下腸間膜動脈(IMA)閉塞,開存している腰動脈(LA)本数2本以下の症例が有意に多く,瘤縮小の可能性は,抗血小板剤内服0.1倍,TXA内服6.5倍,IMA閉塞7.8倍,開存LA 2本以内3.9倍と推測された.【結論】EVAR終了時にIMAが閉塞,開存LA本数が2本以内で,術後にTXAを投与すると,瘤が縮小する可能性が高くなると考えられた.