2022 年 31 巻 5 号 p. 307-310
大腿–腓骨動脈バイパス術後に末梢側吻合部仮性動脈瘤を認め,超音波ガイド下トロンビン注入療法(US-guided thrombin injection: UGTI)を施行した症例を報告する.症例は86歳の女性で,右大腿–腓骨動脈バイパス術施行後1年半を経過し右下腿に疼痛を伴う拍動性腫瘤が出現したため来院した.血液検査上感染兆候なく,下肢超音波と血管造影にて末梢側吻合部仮性動脈瘤を認め,UGTIを施行した.施行後,合併症なく術後1週間で独歩退院となった.感染兆候のない末梢血管バイパス術後仮性動脈瘤に対してUGTIは安全で有効であり文献的考察を含め報告する.