日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
左総腸骨動脈瘤破裂に対してDouble D Techniqueを施行した1例
細川 恭佑 酒井 美晴海ヶ倉 紀文和多田 晋
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 31 巻 5 号 p. 311-315

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抄録

症例は77歳,男性.急性腹症のため救急搬送され,造影CTにて左総腸骨動脈瘤破裂と診断し,緊急手術を施行した.腎動脈下から大動脈分岐までの距離が55 mmと短く,IFU(instruction for use)外であったが,Doube D Technique(DDT)を用いたステントグラフト内挿術を施行した.術後4時間後に腹部コンパートメント症候群をきたし開腹減圧術を追加した.術後2日目に後腹膜血腫除去術と閉腹術を施行した.術後3日目,左脚のType Ibエンドリークを認め,左脚を追加した.以降エンドリークなく経過している.腹部大動脈瘤破裂に対するステントグラフト内挿術は年々増加しており,解剖学的要件を満たしていれば第一選択とされている.開腹手術に比して低侵襲であり,同等以上の成績が報告されており,今後適応の拡大が予想される.DDTはIFU外の破裂症例に対しても有用な代替手段と考える.

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