日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
遺残坐骨動脈閉塞に対し大腿動脈からの側副血行路合流部の血管形成術を施行した1例
伊藤 昌理 若松 豊高橋 順一郎
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2022 年 31 巻 6 号 p. 359-362

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抄録

遺残坐骨動脈は稀な先天異常で,瘤化,閉塞,血栓塞栓症などをきたすことが多い.今回われわれは,右遺残坐骨動脈の閉塞による右下肢虚血に対する血行再建術として側副血行路の血管形成術を施行した症例を経験した.症例は66歳,男性,右下肢跛行にて近医より紹介された.右下肢動脈は膝窩動脈以下で動脈拍動触知不能,Ankle brachial index (ABI)は右で0.63と低下を認めた.CTでは遺残坐骨動脈を認め閉塞していた.大腿動脈は低形成だったが膝窩動脈と側副血行路を介した交通が認められた.手術は側副血行路合流部の血管形成術による血行再建術を施行した.術後はABIも0.88と改善し跛行も改善傾向となった.その後の外来経過観察でABIは1.01まで改善し跛行も消失した.

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