2023 年 32 巻 1 号 p. 79-82
症例は41歳,女性.2年以上遷延した原因不明の左鼠径部痛を主訴に当院を受診した.超音波検査および造影CTにて左大腿静脈に接する腫瘤を指摘された.確定診断と治療目的に摘出術を施行した.左総大腿静脈の一部を腫瘍と一塊に切除し,大伏在静脈in situ transposition法(May-Husni変法)により再建した.病理組織学的に腫瘍は大腿静脈より発生し,上皮様形態を示す腫瘍細胞の増殖が認められた.免疫染色にてCD31, CD34, ERGなどの血管内皮マーカーが陽性であり,さらに類上皮血管内皮腫に特徴的なWWTR1-CAMTA1融合遺伝子の存在を示唆するCAMTA1が陽性であった.以上より非常に稀な大腿静脈由来の類上皮血管内皮腫と診断した.