2023 年 32 巻 4 号 p. 311-315
腎動脈瘤に対する血管内治療は近年増加している.とくに,腎動脈主幹部の動脈瘤は,ステントグラフト治療に適していると考えられる.症例は70歳男性.鼠径ヘルニアの術前検査で,右腎動脈瘤(腎動脈主幹部囊状動脈瘤,29×22 mm),冠動脈疾患(左冠動脈主幹部+3枝病変),左総腸骨動脈瘤を指摘された.冠動脈疾患に対してOPCABを施行した後に,右腎動脈瘤に対してVIABAHN VBXを用いたステントグラフト内挿術を施行した.腎動脈瘤の中枢側と末梢側のlanding zoneとする血管には口径差があり,バルーンによる過拡張で口径を大きくすることが可能なVIABAHN VBXを選択した.術後のCTでは腎動脈瘤は血栓化が得られ,エンドリークも認めなかった.左総腸骨動脈瘤に対してもステントグラフト内挿術を施行し,いずれも良好に経過している.