日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
慢性B型大動脈解離に対する胸部ステントグラフト内挿術の中期成績:とくにリエントリー閉鎖によるリモデリング効果と影響因子について
大野 雅人善甫 宣哉 神西 優樹坂下 英樹植月 友彦岡田 隆之
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2023 年 32 巻 5 号 p. 351-356

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抄録

【目的】慢性B型大動脈解離(cTBD)とくに発症から6カ月以降の後期に対するTEVARのリモデリングとリエントリー閉鎖の影響について検討した.【方法】早期9例と後期16例に分け,TEVAR術後中期の胸部偽腔リモデリングと,後期ではリエントリー閉鎖の影響について検討した.【結果】胸部偽腔の完全縮小は早期で67%,後期で13%であり,有意に早期の完全縮小率が高かった.5 mm以上の縮小を含めたリモデリング率は早期78%,後期69%と差がなかった.後期で術前後の腹部内臓分枝根部,腹部大動脈と総・外腸骨動脈リエントリーの有無,術後タイプIaエンドリークの有無で単変量,多変量解析を行い,左総・外腸骨動脈リエントリーの存在がリモデリングに影響することが判明した.【結論】後期cTBDに対するTEVARでは,中期の胸部偽腔リモデリング促進因子として,左総・外腸骨動脈リエントリー閉鎖が一番重要と考えられた.

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