日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
大腿静脈原発平滑筋肉腫の1例
佐藤 雅信 永澤 園子山田 章貴森本 喜久顔 邦男麻田 達郎
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 32 巻 6 号 p. 449-453

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抄録

血管平滑筋肉腫は稀で予後不良といわれている.とくに大腿静脈原発の報告例は少ない.今回われわれは右大腿静脈原発平滑筋肉腫の1例を経験したので文献的考察を含め報告する.症例は74歳女性.右下肢腫脹を認め深部静脈血栓症疑いで当科紹介となった.右大腿鼠径部下に鶏卵大,非拍動性腫瘤性病変を触知,血管超音波検査にて35×31×51 mm長の腫瘤を認め,内腔が血栓化した大腿静脈静脈性血管瘤が疑われた.CT検査やMRI検査で右大腿静脈内の腫瘍が疑われたが,神経原性腫瘍との鑑別診断として挙げられた.手術所見では,腫瘤は大腿静脈と連続性があり,神経原性腫瘍は否定された.大腿静脈の腫瘍と診断され,完全切除を行った.病理検査で血管由来の大腿静脈原発性平滑筋肉腫との診断を得た.退院後は当院血液腫瘍内科とともに経過を観察していた.術後4カ月後に多発性肝転移と多発性肺転移を認め,化学療法を開始された.術後2年経過した現在も生存中である.

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