日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
透析患者の重症虚血肢に対してカルシフィラキシスと診断し治療し得た1例
西田 浩介 田中 克典飯島 夏海志水 正史田口 眞一
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2024 年 33 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

症例は45歳女性,糖尿病,慢性腎不全で透析導入されている.左下腿中央の潰瘍を主訴に当院に紹介され,左包括的高度慢性下肢虚血の診断で血行再建を行うも潰瘍は増悪し下肢切断に至った.血流は十分と考えられる大腿切断であったが,切断端だけではなく鼠径部の創も離開し,デブリードマン,陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy: NPWT)を行うも治癒は得られなかった.本症例は閉塞性動脈硬化症に特徴的な足趾の潰瘍でなく下腿中央の潰瘍が初発であったこと,虚血障害のない大腿切断端や鼠径部にも有痛性潰瘍の進行を認めたことからカルシフィラキシス(Calciphylaxis)と診断し,ワルファリンの内服を中止し,血清カルシウム値とリン値の積値を是正したところ創部の治癒を得た.

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