後脛骨動脈瘤は非常に稀で,その成因の多くが医原性や外傷性の仮性瘤である.本症例では特発性後脛骨仮性動脈瘤に対して大伏在静脈を使用し血行再建を行ったので報告する.症例は74歳男性.来院3カ月前より左下腿の腫脹の自覚があり,造影CT検査の結果,左後脛骨動脈瘤と診断された.瘤径の最大短径41 mm, 最大長径70 mmと非常に大きく,瘤切除後の直接吻合での再建は困難であったため,大伏在静脈グラフトを使用し血行再建を行った.術後の下肢超音波検査では再建したグラフトの血流を確認でき,ABIとSPPは術前後で変化はなかった.本症例では巨大な後脛骨動脈瘤のため大伏在静脈を使用した血行再建を行ったが,最小限の皮膚切開で動脈瘤切除を行い術創トラブルや下肢動脈閉塞もなく良好な経過であった.巨大な後脛骨動脈瘤ではあったが,術前より後脛骨動脈の末梢側の血流は開存しており,長期的な下肢末梢血流維持を目的に外科的血行再建を行った.
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