日本血管外科学会雑誌
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症例
急性下肢動脈閉塞血行再建術後に発症した足部コンパートメント症候群が原因と思われる屈趾症の1症例
長﨑 和仁 菊池 恭太古賀 敬也
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2024 年 33 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

四肢の急性動脈閉塞血行再建術後に生じるコンパートメント症候群の多くは下腿,前腕,そして手に発症し,足部に発症することは稀である.足部コンパートメント症候群が未治療で経過した場合,claw toeなどの屈趾症や慢性疼痛などの神経障害を生じ,保存的に改善しない場合は切断術を含めた外科的治療を要する.今回われわれは,急性下肢動脈閉塞血行再建術後に発症した足部コンパートメント症候群が原因と思われる屈趾症の1症例を経験した.症例は61歳男性で,主訴は屈趾症による歩行時の左第2足趾趾尖部痛で,理学療法による保存的治療にても疼痛管理困難であった.下肢動脈血管造影検査にて足趾血流が保たれていることを確認後,経皮的屈筋腱切離術を施行し趾尖部痛なく歩行可能となった.急性下肢動脈閉塞血行再建術後に足部コンパートメント症候群も稀ではあるが発症するため,その病態の認識と合併症管理が必要であると考えられた.

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