2024 年 33 巻 2 号 p. 79-83
下肢静脈瘤は良性疾患であるため,自覚症状,皮膚病変がある場合が治療対象となる.超音波検査と問診,視診,触診の結果を総合的に勘案して治療方法を決定する.下肢静脈瘤の治療には保存的治療と侵襲的治療があり,うっ滞性皮膚炎や潰瘍を有する重症例では基本的に侵襲的治療を選択する.現在,伏在型静脈瘤の侵襲的治療の約90%はラジオ波またはレーザーによる血管内治療となっている.2019年に保険適用となったシアノアクリレート系接着材による血管内治療は,TLA麻酔や術後弾性ストッキング着用が必要なく,高齢者,両側同時症例や複数の伏在静脈の治療に適している.近年,低侵襲治療の普及によって,適応外症例に血管内治療を行う不適切治療が増加し大きな社会問題となっている.無症状例,軽症例に対する不適切治療は決して行ってはならない.