2024 年 33 巻 3 号 p. 161-165
症例は75歳男性.腹部大動脈瘤(AAA)に対し11年前に当科でTalentを用いてステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.前医でType IIエンドリーク(EL)による約10 mmの瘤径拡大を認め当科に紹介となり,下腸間膜動脈コイル塞栓術を施行した.5カ月後に突然の腰痛を発症し造影CTでステントグラフト右脚からのELによるAAA破裂を認め,緊急開腹人工血管置換術を施行した.術中所見ではTalent右脚近位で約10×5 mmの穿孔を認め,Type IIIb ELによる破裂と診断した.経過は良好で術後14日で退院となった.治療後11年目の巨大fabric tearによるType IIIb ELによる破裂症例を経験したので報告した.