日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
2期的コイル塞栓術を要したThe Arc of Bühler動脈瘤の1例
日高 のぞみ 斉藤 貴明
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2024 年 33 巻 6 号 p. 337-341

詳細
抄録

The Arc of Bühler(AOB)は胎生期における上腸間膜動脈(SMA)と腹腔動脈(CA)の遺残吻合血管と考えられ,その頻度は1–4%と稀な解剖学的変異である.正中弓状靭帯症候群(MALS)などによりCAに狭窄や閉塞を伴うと瘤化し,治療対象となり得る.症例は77歳女性,他院にて偶発的に内臓動脈瘤を指摘され当科紹介となった.造影CTでφ20 mm大の囊状AOB動脈瘤と診断し,血管内治療を行った.初回治療で,2本の流出動脈をコイル塞栓した後,術中血管造影で瘤内と流入動脈の描出が消失したため,手技を終了した.しかし術後1週間の造影CT検査にて瘤内の一部と流入動脈が再疎通している所見を認め2回目の治療を行った.瘤内の一部と流入動脈をコイル塞栓した.術後3カ月での造影CTでは,AOB動脈瘤は完全に塞栓されており,コイル塞栓は安全かつ有効な治療法であると考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top