2025 年 34 巻 2 号 p. 31-35
外膜囊腫は,そのほとんどが膝窩動脈に発生する比較的稀な疾患である.今回,総大腿動脈に発生した外膜囊腫を経験した.症例は46歳,女性,左下肢の間欠性跛行を主訴に近医を受診した.超音波検査にて左総大腿動脈に血流を伴わない低エコー域を認め,内腔は圧排により狭窄を認めていた.大腿動脈解離の診断で当科紹介となったが,造影CTと下肢MRIの所見と併せて大腿動脈外膜囊腫が疑われた.手術にて囊腫を血管壁と一塊に切除し,人工血管にて血行再建を行った.術後より症状は消失し,経過は良好で3カ月経過した現在まで再発は認めていない.外膜囊腫の病態や画像検査所見についての理解は適切な診断を行うことに有用であり,手術で良好な治療結果を得たので報告する.