日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部大動脈ステントグラフト内挿術後の腹部大動脈瘤破裂に対する保存的加療
曹 宇晨 國井 佳文守内 大樹奥木 聡志小出 昌秋
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2025 年 34 巻 3 号 p. 53-57

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抄録

EVAR後のAAA破裂は再介入が原則だが,高齢かつfrailtyの強い症例では手術リスクが懸念される.症例1はClinical Frailty Scale(CFS)6の85歳男性.6年前のEVAR後にエンドリーク(EL)はなく,来院時造影CTで少量のII型ELとFitzgerald IIの破裂を認めた.症状は速やかに軽快し保存的加療で退院.3カ月後,血腫がFitzgerald IIIに進行しchronic contained ruptureを認めたが,無症状のまま3年間経過.症例2はCFS 5の81歳男性.2年前のEVAR後にELはなく,転倒後にFitzgerald IIの破裂を認めたが造影剤漏出は不明瞭.症状は速やかに軽快し保存的加療で退院,4年間無症状.EVAR後のAAA破裂では臨床経過を踏まえ,慎重な保存的加療が選択肢となる.

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