2025 年 34 巻 3 号 p. 53-57
EVAR後のAAA破裂は再介入が原則だが,高齢かつfrailtyの強い症例では手術リスクが懸念される.症例1はClinical Frailty Scale(CFS)6の85歳男性.6年前のEVAR後にエンドリーク(EL)はなく,来院時造影CTで少量のII型ELとFitzgerald IIの破裂を認めた.症状は速やかに軽快し保存的加療で退院.3カ月後,血腫がFitzgerald IIIに進行しchronic contained ruptureを認めたが,無症状のまま3年間経過.症例2はCFS 5の81歳男性.2年前のEVAR後にELはなく,転倒後にFitzgerald IIの破裂を認めたが造影剤漏出は不明瞭.症状は速やかに軽快し保存的加療で退院,4年間無症状.EVAR後のAAA破裂では臨床経過を踏まえ,慎重な保存的加療が選択肢となる.