2018 年 41 巻 6 号 p. 159-178
繁用農薬と水質管理目標設定項目の対象農薬について, ガスクロマトグラフ質量分析法 (GC/MS) , 液体クロマトグラフ質量分析法 (LC/MS) , 液体クロマトグラフ誘導結合プラズマ質量分析法 (LC/ICP/MS) による一斉分析法をそれぞれ検討した。その結果, 209物質 (192農薬) についてグループ別一斉分析が可能であり, 地下水及び河川水を用いて添加回収試験を実施したところ, 多くの農薬について回収率及び相対標準偏差は良好な結果であった。また, 農薬は, 浄水場における塩素処理で分解する可能性があるため, 塩素処理実験を実施し, 反応速度をもとに対象農薬を10のカテゴリーに分類することができた。さらに, LC/TOF-MSにより塩素処理後に生じたクロマトグラフ上のピークを解析したところ, チオノ (P=S) 型からオキソ (P=O) 型への変化や塩素の付加を確認した。