湖沼や河川におけるBODやCODが示す有機物の質を検討するため, 琵琶湖およびその流域河川と排水中の全有機炭素TOCとBODやCODとの比較を行った。また, 試料の生分解試験から生分解性とBODやCODとの関係も整理した。湖水のBODと100日生分解試験で得られた生分解性有機物に線形性はなく, BODは生分解性有機物の一部にすぎない。BODは粒子態有機物と強い相関があり, 初期生分解には粒子態有機物の分解が寄与している。琵琶湖水や河川水のCODは有機物全体の半分以下の検出にすぎないが, CODとTOCの相関は強くデータの散布度は類似しており, 概観するとCODは有機物の分布を捉えていた。しかし, CODの検出には, 1) 低濃度での過大評価, 2) 有機物の種類による検出の偏りがあり, 有機物量がCOD値で2以下となる低濃度域では, 試料の量や質によるCODの検出率の違いが有機物負荷量の算定に無視できないことを確認した。