水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
Print ISSN : 0916-8958
ISSN-L : 0916-8958
研究論文
低濃度有機汚濁水域における有機物指標の特性把握:琵琶湖流域におけるCOD (Mn) , BOD, TOCの比較から
早川 和秀岡本 高弘廣瀬 佳則佐藤 祐一
著者情報
キーワード: 有機汚濁, BOD, COD, TOC, 水質指標
ジャーナル フリー
電子付録

2018 年 41 巻 6 号 p. 193-203

詳細
抄録

湖沼や河川におけるBODやCODが示す有機物の質を検討するため, 琵琶湖およびその流域河川と排水中の全有機炭素TOCとBODやCODとの比較を行った。また, 試料の生分解試験から生分解性とBODやCODとの関係も整理した。湖水のBODと100日生分解試験で得られた生分解性有機物に線形性はなく, BODは生分解性有機物の一部にすぎない。BODは粒子態有機物と強い相関があり, 初期生分解には粒子態有機物の分解が寄与している。琵琶湖水や河川水のCODは有機物全体の半分以下の検出にすぎないが, CODとTOCの相関は強くデータの散布度は類似しており, 概観するとCODは有機物の分布を捉えていた。しかし, CODの検出には, 1) 低濃度での過大評価, 2) 有機物の種類による検出の偏りがあり, 有機物量がCOD値で2以下となる低濃度域では, 試料の量や質によるCODの検出率の違いが有機物負荷量の算定に無視できないことを確認した。

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 日本水環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top