水環境学会誌
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研究論文
下水の再利用を目的とした統合的膜処理システムにおける逆浸透膜のアルギン酸によるファウリングとカルシウムイオンの役割
原田 美冬古澤 和輝鈴木 祐麻新苗 正和和田 善成市村 重俊
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2020 年 43 巻 6 号 p. 165-173

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抄録

下水処理水の再利用を目的とした既存の統合的膜処理システムでは精密ろ過膜 (MF膜) と逆浸透膜 (RO膜) が用いられているが, バイオポリマーによるRO膜のファウリングが問題となっている。本研究では, アルギン酸によるRO膜のファウリングおよび統合的膜処理システムにおけるアルギン酸の挙動にCa2+が与える影響について理解を深めることを目的とした。実験の結果, MF膜による前処理を行わない場合は, Ca2+との安定な配位結合により多量体を形成するGGブロックおよびMGブロックが選択的にRO膜上に堆積するために, Ca2+によりRO膜のファウリングが促進することが明らかになった。その一方で, MF膜による前処理を行った場合は, 多量体を形成したGGブロックおよびMGブロックがMF膜により除去されるため, むしろCa2+によりRO膜のファウリングが抑制されることが明らかになった。

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© 2020 公益社団法人 日本水環境学会
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